インドは世界のごま市場における主要供給国のひとつですが、その理由は数量よりも選別技術にあります。インドの加工業者は光学式色彩選別機、比重選別、水式脱皮設備に多額の投資を行ってきました。そのため、インド産の白ごまは、他産地が一シーズンを通して安定して維持することが難しい純度水準を満たします。製パンのトッピングやタヒニの製造ラインにおいて、純度と色調の均一性は見た目の好みではなく、そのロットが生産に投入できるか、受入検査で不合格となるかを左右する要素です。
本ガイドは、初回発注の前にバイヤーが確認すべき技術的・規制的事項を整理したものです。インド産の採用を検討されている輸入業者、食品メーカー、商社を対象とし、宣伝文ではなく規格を軸に構成しています。
産地:インド産ごまの供給地
主要産地はグジャラート州で、北グジャラートのウンジャ(Unjha)地区は、プレミアム市場が評価する明るく均一な色調の白ごまの基準産地とされています。ラジャスタン州、マディヤプラデシュ州、ウッタルプラデシュ州、西ベンガル州も相当量を供給しており、黒ごまについては西ベンガル州とマディヤプラデシュ州が重要です。
調達スケジュールには2つの作付期が関わります。カリフ作(雨期作)はおおむね9月下旬から11月にかけて集荷市場に出回り、数量的に主力となります。続いて4月から5月に夏作が入荷します。第3四半期を通じて供給の継続性が必要なバイヤーは、繰越在庫の確保または先渡契約をご検討ください。6月から9月はインドのごまカレンダーで最も需給が逼迫する時期であり、価格変動が集中します。
等級と用途
洗いごま(未脱皮・白色系)
種皮が残った状態のものです。搾油用、スナック・バー類の製造、種皮由来の香ばしさが求められる用途に使用されます。純度、夾雑物、水分を主な等級基準とします。
むきごま(脱皮ごま)
種皮を除去したもので、多くは水式機械脱皮の後に乾燥と光学選別を行います。均一な乳白色の粒となり、タヒニ、ハルヴァ、製パントッピング、寿司、菓子類に使用されます。化学的脱皮は機械式・水式脱皮と異なり残留の問題が生じうるため、脱皮方式を仕様書に明記することをお勧めします。
黒ごま
東アジアの食品製造において、練り製品、餡・フィリング、搾油、トッピング用途で高く評価されています。純度に加えて色の濃さと均一性が等級基準となります。白ごまより市場規模が小さいため、早期の契約がより重要になります。
いりごま(焙煎ごま)
指定の焙煎プロファイルに従って供給します。焙煎は遊離脂肪酸の生成と保存性に影響するため、焙煎仕様と包装日を契約書に併記してください。
標準規格
下表は、RNG Agro Exports が契約基準としている等級別の一般的な輸出規格の範囲です。純度、夾雑物、色彩選別回数は、受入検査での合否を最も左右する項目です。
上記は一般的な輸出規格の範囲であり、統一された国際規格ではありません。契約はバイヤー固有の規格書に基づいて作成し、船積前サンプルは「輸出品質」といった包括的な表現ではなく、その規格書と照合して承認してください。
輸入国別の食品衛生規制
ごまの契約が最も頻繁に破綻する箇所であり、慎重なバイヤーが最初に読むべき項目です。要求事項は市場ごとに大きく異なります。これを具体的に説明できないサプライヤーは、その市場への出荷実績がないサプライヤーです。
日本
輸入時には食品衛生法に基づく検査が行われ、残留農薬はポジティブリスト制度が適用されます。日本のバイヤーは一般的な多成分スクリーニングではなく、自社の管理リストに合わせた残留農薬パネルを求めることが多く、むきごまと黒ごまについてはロット間の色調の安定性を重視します。ごまは表示推奨対象品目であるため、交差接触の管理記録も併せて求められるのが通例です。
欧州連合
インド産ごまは、EUで食品への使用が認められていないエチレンオキシドの検出を受け、2020年10月以降、EU国境において強化された公的検査の対象となっています。根拠法令は欧州委員会実施規則 (EU) 2019/1793です。商業上重要な点は次の2つです。
- 各貨物には、サンプリングと分析が実施されたことを証明する公的証明書と、その結果を添付する必要があります。
- インド産貨物の適合状況の改善を踏まえ、同一性検査および物理的検査の頻度が実施規則 (EU) 2024/3153により30%から20%に引き下げられました。
エチレンオキシドの残留基準は、エチレンオキシドと2-クロロエタノールの合計として規則 (EC) No 396/2005に基づき0.05 mg/kgです。サルモネラに関する管理も並行して適用されます。合格証明書だけでなく、使用された試験法と定量下限(LOQ)の確認をお勧めします。
韓国
食品医薬品安全処が運用する輸入食品安全管理制度に基づき検査が行われ、農薬ポジティブリスト制度に基づく残留農薬、アフラトキシン、異物が主な検査項目となります。韓国のバイヤーは黒ごま・いりごまについて、文書上の規格より厳しい色調・風味基準を適用する傾向があり、サンプル承認の手続きが特に重要です。
米国
ごまはFASTER Actにより米国の主要食物アレルゲンに指定されており、表示および交差接触管理に影響します。輸入者は海外供給業者検証プログラム(FSVP)の運用が義務付けられているため、サプライヤーの食品安全書類は参考資料ではなく、輸入者自身の法令遵守記録の一部となります。
湾岸諸国・中東
仕向地に応じてハラール認証、アラビア語表示、適合性評価の要件が適用されます。この地域のタヒニ・ハルヴァ製造業者は、むきごまの色調と遊離脂肪酸について世界で最も要求水準の高いバイヤー層です。
試験と必要書類
裏付け書類こそが、検証可能なサプライヤーと自称サプライヤーを分けます。インドからのごま出荷には次の書類を添付すべきです。
- SGS、Intertek等の認定試験機関による第三者試験成績書(COA)、合意した全項目を網羅
- 残留農薬分析報告書(輸入国が求める場合はエチレンオキシドおよび2-クロロエタノールを含む)
- 微生物検査報告書(サルモネラ、必要に応じて大腸菌・酵母・カビ)
- アフラトキシン検査報告書
- 植物検疫証明書
- 原産地証明書、および協定税率適用時の原産地関連書類
- 輸入国が要求する場合は燻蒸証明書
- 商業送り状、包装明細書、船荷証券
- 輸入国別の公的証明書または衛生証明書
荷姿とコンテナ積載
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 袋サイズ | 10kg、25kg、50kg / PP織布、多層クラフト紙、ご要望により麻袋 |
| 内袋 | 水分管理が必要な契約向けに食品用インナーライナーをご用意 |
| プライベートブランド | BOPP印刷袋、貴社デザイン、1FCLより対応 |
| 20フィートコンテナ | 袋詰めで約18〜19トン |
| 40フィートコンテナ | 袋詰めで約26〜27トン |
| コンテナ準備 | 清掃済・乾燥・無臭 / ご要望によりクラフト紙ライニングおよび乾燥剤 |
| 荷印 | ロット番号、製造日および包装日、正味重量・総重量、原産国 |
積出港と輸送日数
グジャラート州のムンドラ港とカンドラ港が、アジアおよび中東向けインド産ごまの大半を扱っています。産地に最も近いためです。ナバシェバ港とピパバブ港が代替港として利用され、チェンナイ港は南アジア・東南アジア向けの一部を担っています。ムンドラ港出港基準の目安となる輸送日数は次のとおりです(船社サービスおよび積替えにより変動)。
| 仕向港 | 目安の輸送日数 |
|---|---|
| 横浜(日本) | 22〜28日 |
| 神戸(日本) | 22〜28日 |
| 釜山(韓国) | 20〜26日 |
| ホーチミン(ベトナム) | 16〜22日 |
| ジェベルアリ(UAE) | 4〜6日 |
| ロッテルダム(オランダ) | 20〜26日 |
10月から11月の収穫最盛期には、グジャラート州の港湾および加工処理能力が年間で最も逼迫します。ブッキングはこの時期を見込んで計画してください。
インド産ごまサプライヤーの見極め方
費用をかけずにリスクの大半を排除できる、短いデューデリジェンスの手順です。
- DGFT発行の輸出入コード(IEC)とAPEDA登録証(RCMC)を確認する。
- 食品安全認証が有効期間内かを確認し、PDFの写しを鵜呑みにせず認証機関の登録簿で認証番号を照合する。
- 貴社の規格書に基づく500gの船積前サンプルを請求し、日本国内で独立して試験する。
- 過去12か月間にごまを出荷した具体的な仕向国を確認し、当該国の公的証明書の書式を請求する。
- 長期契約ではなく試験用コンテナから開始し、ロット間の安定性を確認してから数量を拡大する。
- 検査条件を書面で合意する。検定機関の指名者、所有権と危険負担の移転時点、不合格とする前の許容値を明記する。
よくあるご質問
- むきごまと洗いごまの違いは何ですか。
- 洗いごまは種皮が残っており、香ばしさや食物繊維が求められる用途および搾油用に適します。むきごまは種皮を除去した均一な乳白色の粒で、タヒニ、製パントッピング、菓子類に用いられます。
- インド産ごまはEU輸入時に追加検査の対象となりますか。
- はい。インド産ごまは規則 (EU) 2019/1793の対象で、サンプリングと分析結果を添付した公的証明書が必要です。検査頻度は規則 (EU) 2024/3153により30%から20%に引き下げられました。
- 20フィートコンテナには何トン積載できますか。
- 袋サイズと積付方法により、20フィートで約18〜19トン、40フィートで約26〜27トンです。
- 最小発注量はどのくらいですか。
- 新規のお取引先は1トンからの試験発注を承ります。以降はムンドラ港、ナバシェバ港、ピパバブ港よりコンテナ単位で出荷します。
- 有機ごまの供給は可能ですか。
- 可能です。認証範囲とリードタイムにより条件が異なります。有機契約は通常品より調達期間が長くなるため、収穫カレンダーに合わせた事前予約が必要です。
- むきごまは純度99.95%以上・夾雑物0.05%以下、洗いごまと黒ごまは99.00〜99.50%以上で契約します。
- EU向けは規則 (EU) 2019/1793に基づく公的証明書が必要で、検査頻度は規則 (EU) 2024/3153により30%から20%に引き下げられました。
- エチレンオキシドと2-クロロエタノールの合計は0.05 mg/kg以下。合格証明書だけでなく試験法と定量下限をご確認ください。
- 20フィートで約18〜19トン、40フィートで約26〜27トン。アジア・中東向けはムンドラ港とカンドラ港が中心です。
| 項目 | 洗いごま(白色系) | むきごま | 黒ごま |
|---|---|---|---|
| 純度 | 99.00% / 99.50% 以上 | 99.95% 以上 | 99.00% 以上 |
| 水分 | 6.0% 以下 | 5.0% 以下 | 6.0% 以下 |
| 夾雑物 | 1.0% 以下 | 0.05% 以下 | 1.0% 以下 |
| 粗脂肪(油分) | 48〜52% | 50〜54% | 44〜48% |
| 遊離脂肪酸 | 2.0% 以下 | 2.0% 以下 | 2.0% 以下 |
| 損傷粒・変色粒 | 1.0% 以下 | 0.5% 以下 | 1.0% 以下 |
| 異物 | 仕様に基づき無 | 無 | 仕様に基づき無 |
| 色彩選別回数 | 2〜3回 | 3〜4回 | 2〜3回 |
発注前に、直近の出荷分の試験成績書(機密部分を伏せたもの)をご請求ください。貴社の市場へ実際に出荷しているサプライヤーであれば即座に提出できます。相手方が現物貨物を扱っているのか、オファーを転送しているだけなのかを見分ける最も速い方法です。
| むきごま 99.95% | $1,610 | up |
| 洗いごま(白色系) | $1,485 | up |
| 黒ごま | $1,870 | up |
| クミン (ASTA) | $3,200 | down |
| 9月30日 | カリフ作ごま 集荷開始(グジャラート) |
| 10月15日 | EU 公的検査見直し(付属書II) |
| 11月01日 | ムンドラ・カンドラ 積込ピーク |
| 12月10日 | APEDA RCMC 更新受付開始 |
| Market Updates | 日本・韓国のごま需要が5年ぶりの高水準に | https://rngagroexports.com/blog/sesame-seed-demand-japan-korea-five-year-high/ |
| Trade and Export | Indian Sesame Seeds: Specification, Compliance and Shipping Guide | https://rngagroexports.com/blog/sesame-seeds-exporter-india/ |
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